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【読書感想】Netflixあたりで連続ドラマにして欲しい 安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由

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安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由

安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由

なぜ放送されないんだ!

政権を揺るがす「森友事件」の報道の最前線で活躍したNHKのエース記者が突如退職した。何があったのか?

著者は「森友事件」の発覚当初から事件を追い続けたNHK大阪放送局の司法担当キャップだった。次々に特ダネをつかむも、書いた原稿は「安倍官邸とのつながり」を薄めるように書き換えられていく。NHKでも検察でも東京vs.大阪のせめぎ合いが続く中、ついに著者は記者職からの異動を命じられた。記者であり続けるために職を辞した著者が、事件の核心、取材の裏側、そして歪められる報道の現在を赤裸々に明かす、渾身のノンフィクション。

森友事件をスクープしたNHK大阪の記者相澤冬樹氏の著作です。

記者という職業の矜持に溢れてます。

流石にNHKでは無理でしょうからNetflixでぜひドラマ化して欲しいですね。

目次はこんな感じ

  • はじめに
  • 第1章 森友報道は「忖度」で始まった
  • 第2章 一転して大報道合戦~小学校認可の行方~
  • 第3章 クロ現製作ですったもんだ~けんかの末に仲間に~
  • 第4章 注目を集めた籠池理事長夫妻の人物像
  • 第5章 国有地問題から補助金詐欺へ~焦点を移す検察の捜査~
  • 第6章 背任の実態に迫る特ダネに報道局長激怒
  • 第7章 籠池前理事長逮捕の舞台裏
  • 第8章 取材体制変更で担当を外された私
  • 第9章 森友事件追及弁護団(仮称・阪口弁護団)の活躍
  • 第10章 近畿財務局職員の自殺が残した謎
  • 第11章「口裏合わせ」の特ダネに圧力再び~プロの記者はこうして取材する~
  • 第12章 強者記者列伝~5本の指に入る記者+と、もう一人の優れもの記者~
  • 第13章 個性豊かな検事たちとの愉快なやり取り
  • 第14章 急転直下の検察捜査、財務省は全員不起訴 ~そして私は記者を外された~
  • 終章 NHKから大阪日日新聞へ~森友事件の取材は続く~

脱線章もあるので1クール12話くらいにまとまりそうですよね。

感想その1、元記事と編集後の差分がさらに記事を興味深くさせる

この著者は記者なわけですが記事が書いた取材記事をデスクが修正するんですよね。誤字脱字という意味ではなく主旨をぼやかしたりします。(酷い)

私は仕事でプログラムの変更部分を抽出するため変更前後の差分を確認するdiffというコマンドをよく使うんですが「どう変えたのか?」に意図が表れるんです。

原稿がどう修正されたか原文とデスク変更後の原稿がまるまる載ってまして表現が曖昧になってしまってました。

感想その2、当事者は「役」ではなく「名前」がある

森友事件といえばキャラの強い籠池理事長夫妻は覚えてる方も多いでしょうが、それ以外の登場人物覚えてますか?かろうじて財務省理財局長佐川宣寿くらいかな?

取材対象は籠池夫妻だけでなく弁護士やジャーナリスト、NHK内部職員、近畿財務局、大阪府、検察等々たくさんいるんですが全員「名前」で書かれてます。 「ある弁護士」ではなく「これこれこういうバックグラウンドをもって、こういう信条がある阪口徳雄弁護士」みたいな感じです。もちろん名前を出せない人は「H記者」などの伏せ字もあります。

加害者、被害者、弁護士、検事・・・などのメタ情報ではなく、産廃業者の○さん、検事の○さん、等々それぞれの人が事件を形作ってるんだなぁと改めて思いました。

感想その3、自画自賛が多めw

いや、いいんですけどね。記者の矜持や仕事観など主観と自画自賛が多めです。

過密な取材中でもしょっちゅう飲酒してたようで、酒飲みで話し好きなおっさんなんでしょうねw

大阪日日新聞ではこんな記事もありました。

www.nnn.co.jp

感想その4、バーサスの相手は???

本のタイトルは「安倍官邸vs.NHK」となっていますが、本書を読む限りは「記者の相澤冬樹氏をはじめとする現場側 vs. NHK報道局長小池英夫氏を筆頭とする体制側」までしか読み取れません。

こんな記事もでてますね。

www.dailyshincho.jp

公共放送でみなさまのNHKを謳っている”NHK報道局長小池英夫氏を筆頭とする体制側”が、なぜ政権側に忖度しなければならないのでしょうか?

それは簡単です、料金は視聴者から取っても、予算(金)と人事は政権側が握ってるからですね。

この記事でも解説されてます。

権力批判封じのメカニズム 相澤 冬樹さん(大阪日日新聞・論説委員)インタビュー

忖度が生じる理由のひとつに、放送法があります。NHKの予算は国会承認が必要、経営委員会の人事は衆参両院の合意のもとで内閣総理大臣が任命する、と定められています。人事を握られたら、組織は弱い。経営委員会の人事を内閣総理大臣が決めるのは、見直すべきだと思います。

翻って自分は?

あ〜、もう全然無理です。 「技術的に正しいかもしれないけど俺の立場を考えろ」的な命令にはまったく従えません。 そりゃ、出世しないだけでなく上からは疎まれますよね。

それでも無理なものは無理ですね〜、技術者の帽子は脱げません。

その後、相澤氏は記者の実力を買われ、大阪日日新聞の記者になりNHKを辞職しています。

私は隠居の線を選びますねw