年金だけでも暮らせます 決定版・老後資産の守り方 (PHP新書)
- 作者: 荻原博子
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2019/01/15
- メディア: 新書
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「定年時に最低でも3,000万円の貯蓄が必要」。銀行や証券会社がそう強調し、私たちの気持ちを不安にさせる。一方で、老後を年金だけで暮らす「勝ち組」は意外に多い。その差は、正確な情報を持っているかどうか。年金制度を効果的に活用し、できる限り出費を抑えれば、誰でも悠々自適な老後を送ることができる。本書では、知らないとソンする「老後資産の守り方」を大公開。これぞ、「人生100年時代」にバカを見ないための「お金」の新常識!
TVでもよくみる庶民派(?)経済評論家の著書です。
ブログタイトルでも書きましたが煽りすぎかな〜
目次はこんな感じ
- 第1章 年金制度を理解して「老後不安」とおさらば!─ 年金の基礎知識
年金が「破綻」しないほんとうの理由
将来もらえる年金額を今すぐ把握する
イザという時に役立つ年金の〝隠れ機能〟
保険料を支払わずに、「老齢年金」「遺族年金」「障害年金」をゲットする方法 ほか
- 第2章 意外と知らない年金超活用術─ 少しでも多くもらう裏ワザ
ちょい出費で、もらえる年金をグンと増やす
定年後の働き方次第で、もらえる年金はこんなに変わる! ほか
- 第3章 生活の「意識改革」で出費を抑えなさい─ 年金生活の大原則
銀行が煽る「老後不安」の正体
専門家に頼ろうとしない
今のリアルな生活を直視・改善する
こんなにある! 生活費と固定費の落とし穴
家計最大の出費〝保険“の正体を知っておこう ほか
- 第4章 やっぱり投資はしてはいけない─ 損をしないためのリスクヘッジ
あなたの貯金を狙う「言葉のマジック」に注意!
金融機関が勧める商品は安心・安全か?
今は、「投資をしない」選択がベスト ほか
- 第5章 膨らむ介護・医療費のお悩み解決法─ 転ばぬ先の「貯金」のすすめ
介護のお金は、どれくらいかかるか?
老後の医療費は、どれくらいかかるか?
固定観念に囚われずに、定年後を悠々自適に暮らす
これから日本の介護環境は激変する ほか
全般的に煽り気味です。第3章などは銀行や肩書きで相手を信用しちゃう方にはちょうどいい警鐘になるのかもしせませんが、「相手だって商売なんだから当たり前だろ」と思ってる人には物足りないでしょうね。
第4章では投資を全否定してますw
まぁそういう主義でもいいんですが、一点ここは違うんじゃないかな〜と思われるところがありました。
iDeCoの記述はどうなのか?
投資はするな!というスタンスを守るためなのかiDeCoもNISAも全否定です。
そこで「iDeCoには定期預金がある。けれど銀行の定期預金には利息は低いですが手数料は取られない。iDeCoは年間2,004円の 維持管理量を払わなければならない。iDeCoでこれだけ手数料を払って金利がつかない定期預金をやるバカな人はまずいないでしょう」
とのこと。「バカな人はまずいないでしょう」のところはわざわざ太文字にしてますからね。
その前の記述でわざわざ「専業主婦でiDeCoをやるのは税制優遇がないのでムダ」としているのに、これはミスリードを誘ってるな〜と思いました。それって「所得がある人は税制優遇があるのでお得」ってことですよね。
iDeCoの掛け金は企業年金制度の有無などで制限が違いますが、23,000円/月などが上限になります。(もちろん上限なので1万円/月でもかまいません。)
サラリーマンなどは当たり前ですが所得税を払っています。その税率はこの本の読者層を考えると20%程度でしょうか。(計算も楽なので)
毎月23,000円、年間276,000円をiDeCoで定期預金を積み立てると、その分が全額所得控除になります。
翌年の住民税はおいといても、276,000円x20%=55,200円が年末調整で戻ってくることになります。
あれ?iDeCoの手数料は年間2,004円ですよね。55,200円-2,004円=53,196円となります。どっちがお得なんでしょう???
そうこれって定期預金に預けるだけで20%の金利があるようなものではないでしょうか?(複利じゃなくて単利ですけど)
※ちなみに税制優遇なので上記例よりもっと稼ぐ人=所得税率が高い人にはさらに有利で所得税率30%なら83,000円の節税になります。
政府側のメリットしか喧伝しない姿勢はもちろん醜悪にして卑劣ですが、その方々の状況によってメリットの具合も変わるのにこの本のように最低のパターンだけ紹介して「メリットなし」と決めつけちゃうのもどうなんでしょう?
またiDeCoは60歳まで現金化できないのは確かに制約ですが、iDeCoで積み立てられるのは前述のとおり276,000円/円なので、40歳から初めて20年積み立てても550万円になります。逆にいうとたかだか500万しか積み立てられないということです。
老後の蓄えは2,000万やら3,000万やらが必要だといわれてるのに550万円に手を付けなきゃいけないようだと投資とは別問題ですよね。
(老後まで手をつけないつもりで)老後の蓄えとして定期預金する場合でも、本書の趣旨が通るように銀行定期よりiDeCoの方が不利だと反駁してほしいものです。